ついに完成
「誠実と残酷と」
私のインディーズ作家としてのデビュー作になります。
「誠実と残酷と」
あまり解説してしまうと面白くないと思うので、
一部を抜粋して掲載します。
自信作なので、ぜひ読んでみてください!
誠実と残酷と
「恋じゃない。でも、あなた無しじゃ生きられない」
誠実であろうとする二人の救われない繋がりの物語。
Capture.1 プロローグ
一人暮らしの部屋に「ピンポーン」とドアチャイムが鳴る。
パタパタと玄関に行き、ドアを開ける私。
「こんばんは」と挨拶してくれたこの男は「女性用風俗」のセラピストである。
この「透真」というセラピストを呼ぶのは今日で8回目くらいだろうか?
もう何度もここに来ている。
私は数ヶ月前から女性用風俗を利用している。
きっかけは長く付き合っていた元彼と別れたことだ。
以前からそういうサービスがあることは知っていたのだが、利用するには至らなかった。
しかし元彼と別れて晴れて自由の身になり、その元彼と完全レス状態だった私は「女性用風俗」というサービスに改めて興味を持った。
思いつきと勢いで、新しく借りたアパートに呼んでみた。
そうして来たのがこの男だ。
プロフィール上は29歳となっているが、本当は33歳の私と1つしか変わらないと以前ふとした時に教えてくれた。
利用している側として強い偏見があるわけではないが、「女性用風俗」という仕事に多少の偏見はある。
呼ぶ前も「一体どんな男性が来るんだろう」と、ワクワクというより怖いもの見たさみたいな気持ちだった。
しかし、話してみると至極普通の人と言った感じ。
会話の中で垣間見える考えや価値観も常識的で普通な感じがした。
セラピストとしてそれなりに人気があるくらいなので、プロフィール上の年齢でも違和感なく、若々しい見た目をしている。
美形という感じではないが整った顔立ちだ。若い時からさぞモテただろうと思う。
性感マッサージもちゃんと上手いし、接客態度もしっかりしている。
この職が向いてはいるだろう。
でも、一体なぜこの仕事をしているのか?
なんとなく不思議に思って聞いてみたことがある。
「女性がイッてる姿を見るのが好きで」なんて言っていたが、本当のところはわからない。
聞いておいて愚問だったなと思いながら「へええー」と聞き流した。 この話はその「透真」というセラピストが風俗店を辞めてからも、今もまだなお、元客の私と繋がっているというお話です。
Capture.2 はじまりの話 へ続く